終末期医療での胃ろうなど

≫京都新聞  老年学会  2012.2.1  

    

◎「撤退の考慮すべき」

 日本老年医学会(理事長・大内尉義東京大教授)は31日、近い将来に死が避けられない思い障害を抱えた高齢者の終末期医療に関して、栄養を管で送り込む「胃ろう」や人工呼吸器装着などの治療行為について「撤退も選択肢として考慮すべきだ」とする見解を発表した。

 2001年に策定した、治療の基本的な考え方を示す「立場表明」を改定。今後の終末期医療の在り方に影響を与えるとみられる。 

 改定に伴い、同学会は治療の進め方などを定めた医療従事者向けのガイドラインを作成する。

 立場表明では「いたずらに命を引き延ばすよりも、その人らしい尊厳のある終末期を迎えたいという考えが強まっている」と、終末期医療に対する社会風潮の変化を説明。「高齢患者や家族の意思を十分に確認せず、治療方針が決定される傾向がある」と医療現場の問題点を指摘した。  

 その上で「患者本人の尊厳を損なったり苦痛を増大させたりする可能性がある時は、治療の差し控えや撤退も選択肢のひとつとして考慮する必要がある」と明記した。