独自の認定書なら注意

≫読売新聞  マッサージ開業3回で可能? 2015.3.21  

  滋賀弁護士会 法律Q&A

Q. 先日、赤ちゃんの健康と発育のためというマッサージ講座の受講案内を見ました。子供が好きで受講しようと思いましたが、「3回受講で修了者を認定」「独立・開業も可能」とあって、ちゃんとした資格なのか、違法ではないのかと心配になってきました。
受講しても大丈夫なのでしょうか。


A.講座を受けることは違法ではありませんが、いくつか注意する点があります。
 マッサージを正式な仕事として営むためには、指定された養成機関などで学び、国家資格が必要です。具体的には「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師法」に基づき、実技に加え、体の仕組みについて解剖学や生理学、病理学、衛生学などの知識を3年以上、学ばなくてはいけません。身体に危害を加えることがないように考慮しているからです。
 無資格者で開業すると50万円以下の罰金、自治体への届出を怠った場合は30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

 しかし、実際には近年、多くのマッサージ店が開業しており、有資格者がやっているとは限りません。「リラクゼーション」などをうたう一般的なサービスとの線引きが難しいのです。
 今月には、赤ちゃんへの独自の施術で人気を集めていたNPO法人の理事長が、実際には無資格で、乳児を過って死なせた疑いで逮捕されるという痛ましい事件も明らかになりました。
 国民生活センターによると、健康被害の相談は年々増加しており、無資格の業者によるものが相当数あると懸念を示しています。

 ご相談によると、数回の短い受講で発行されるという認定書は、民間団体が独自に行っているにすぐません。簡単に資格を取得して開業できるかのように誤認させるおそれがあり、注意が必要です。
 もし受講申し込みをして受講料を支払ってしまった場合でも、クーリング・オフや契約の取り消しを求め、受講料の返還を求めることができる場合もあります。
 疑問を思われましたら、国や弁護士など、専門家に相談されることをおすすめします。
 (浅井勇希)