鍼灸・指圧 療養費不正疑い1627件
≫読売新聞 2011.7.8
◎和歌山 75歳以上施術で2238万円
和歌山県内で2008年度~10年度の3年間、75歳以上の人に施術した鍼灸師、指圧師からあった療養費のうち、全体の2%にあたる1627件(計2238万円)で、水増しなどの不正やその疑いのあることが、県後期高齢者医療広報連合の調査でわかった。疑いのある36の治療院などは返還に応じたものの、不正を認めたのは鍼灸師1人だけ。大半は事務的な「ミス」とし、処分はできなかった。保険適用に医師の同意書が必要な鍼灸・指圧の請求で、大量の不正などが見つかるのは異例。
同連合は、内部告発などを受け、3年分計7万8686件を調査。
①往診料の過剰請求(1356件、計1560万円)
②死亡した高齢者らへの施術(33件、計20万円)
③患者が求めていない施術の実施(19件、計24万円)
――などの不審な事例があった。
国や都道府県のように立ち入りなどの強制調査ができないため、同連合は任意で治療院などから事情を聞き、みなべ町の男性鍼灸師だけが211件で610万円の水増し請求を認めた。ほかは「不正ではなくミス」と主張した。
鍼灸師や指圧師による保険適用の請求では、医師の同意書なしで請求できるために一部で悪用が問題化した柔道整復師より、不正は少ないとされる。しかい、同連合によると、療養費は1か月分を申請書1枚で請求し、同署が必要なのは初診時だけ。初診後は、施術回数の水増しなどの不正を見抜くのは難しいという。
和歌山県以外の近畿2府3県の後期高齢者医療広域連合では、不正の疑いが強い請求は年間、多くても10件程度という。
尾形裕也・九州大教授(医療経営・管理学)は「簡単な請求書で保険適用が認められることに加え、調査権限が国や都道府県にしかないのも問題。実際に審査を行う機関の権限のの強化が必要だ」と話している。
comment
この記事について、(社)全和歌山県鍼灸マッサージ師会会長にお尋ねしたところ、「和歌山県では後期高齢者医療保険を償還払いにしようという動きが出てきている。」とのこと。
これが近畿、又全国に波及してきたら大変なことなので、皆、気を引き締めてやっていただきたいものです。