心筋梗塞 女性発覚遅れ
≫読売新聞 2011.10.23
◎国立循環器病研究センターなど調査
心筋梗塞になった患者のうち、女性は男性よりも、専門病院までの到着時間が2時間近く遅いことが、国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)など全国27施設による共同調査でわかった。女性では典型的な症状の胸痛が表れにくく、危機的な状態だと気づかないケースが多いためという。
調査は2008~09年に、発症から3日以内に入院した1826人(男性1366人、女性460人)を対象に実施。発症から来院までの時間は、男性が平均7.5時間だったのに対し、女性は同9.4時間だった。
女性患者の発症年齢が男性より平均で10歳高く、女性の死亡率(13%)は男性(6.4%)の2倍以上になっている事も判明した。
調査を主導した国立循環器病研究センター心臓血管内科部門の横山広行特任部長は「女性はホルモンバランスの違いなどで、胸痛が表れにくいかもしれない」と分析。「心筋梗塞は男性の病気」との誤解から、胸痛を感じていても、最初は身近な診療所を受診する患者もいるという。
治療による救命率は発症から時間がたつほど下がる。患部の血管を内側からステント(金属の筒)で広げる治療の効果は、発症から2時間以内が最も高く、その後は次第に落ちる。
横山特任部長は「疑わしい症状があれば、すぐに医療機関を受診するか、電話で相談してほしい」と訴える。
【心筋梗塞の典型的な症状】
胸の中央部で不快な圧迫感、締め付け感、痛みが2、3分以上持続する
【心筋梗塞が疑われる症状】
∇胸部から両肩、首、腕、下あご、背中、肩甲骨の間に不快感が広がる
∇ふらつき、失神、冷や汗、むかつきが伴う
∇明白な原因がないのに突然、息が切れる